広告代理店vs事業会社!4社経験者が語るキャリア戦略と「リアルな実態」

日々、クライアントの成果に向き合っているWeb広告代理店勤務の皆さん。 激務に追われる中で、ふと「この働き方をいつまで続けるのか?」「次は事業会社で、自社サービスの成長にコミットしたい」と考えることはありませんか?

この記事では、大手Web広告代理店からスタートし、上場HR Tech、未上場スタートアップ、上場AI SaaSへとキャリアを重ねてきた筆者が、代理店と事業会社、それぞれの「リアルすぎる」メリット・デメリットを比較します。

目次

1. 代理店 vs 事業会社:それぞれの特徴と「リアルな違い」

両者は「マーケティングに関わる」という点は同じですが、その働き方や文化は「全くの別物」と言っても過言ではありません。

Web広告代理店:スプリント勝負の「専門職集団」

▼ リアルなメリット(得られる経験)

  • 仕事の「基礎体力」が圧倒的に上がる: ここが最大のメリットです。代理店は求められるスキルのレベルも、働き方の強度も非常に高い環境です。この過酷な環境で数年しっかりと揉まれるだけで、ビジネスパーソンとしての「基礎スキル(スピード、正確性、忍耐力、言語化能力)」が飛躍的に向上します。これは、後のキャリアでどんな環境に行っても通用する「一生モノの資産」になります。
  • 圧倒的な「場数」とスピード感: 多様な業界・商材のPDCAを高速で回すため、特定のスキル(広告運用、SEO等)が短期間で身につきます。
  • 最新トレンドへのアクセス: 媒体社の情報や新しい手法がいち早く入ってくる環境です。

▼ リアルなデメリット(抱えがちな悩み)

  • 常態化する長時間労働と「錯覚」: これは包み隠さずお伝えすべき事実です。私が在籍していた当時の環境でも、月の残業が80時間を超えることは珍しくありませんでした。周囲も成長意欲が高いため、それが「当たり前」の文化になっており、「今日は21時に帰れるから早いな」と錯覚してしまうほどでした。
  • 独特な「時間感覚」: 代理店用語で「本日中の提出」と言えば、それは「次の日の始業開始時間まで」を指すことが暗黙の了解でした。夜の12時にメールが飛び交うことも日常茶飯事で、体力・精神力ともに削られる環境であることは否定できません。
  • 「手段」が目的化しやすい: クライアントのKGI(売上)よりも、KPI(CPAやROAS)の達成がゴールになりがちというジレンマもあります。

事業会社:マラソン型の「事業家集団」

▼ リアルなメリット(得られる経験)

  • ワークライフバランスの改善(代理店比): 企業にもよりますが、代理店時代のような「深夜残業が前提」という文化は事業会社では少ない傾向にあります。持続可能な働き方で、長期的な視点を持って業務に取り組める環境が多いです。
  • 「事業成長」への直接貢献: 自分の施策がダイレクトに自社の売上やLTV(顧客生涯価値)に跳ね返る手応えがあります。
  • マーケティング全体を俯瞰する視座: 広告だけでなく、展示会、ウェビナー、インサイドセールス連携など、施策を横断して戦略を組めます。

▼ リアルなデメリット(抱えがちな悩み)

  • スピード感の違いと社内調整: 代理店時代のような「即断即決・即実行」とはいかず、関係部署との合意形成や社内リソースの調整に時間がかかることに、最初はフラストレーションを感じるかもしれません。
  • 「何でも屋」になるリスク: 特にスタートアップの場合、マーケティング以外の雑務もリソース不足で兼務せざるを得ない場合があります。
  • 逃げ場がないプレッシャー: 成果が出ない時、媒体やクライアントのせいにできず、全ての責任が自分たち(自社プロダクト)に跳ね返ってきます。

2. 事業会社へ転職する主なキャリアパターン

代理店と事業会社、それぞれの特性を理解した上で、どのようなキャリアパスが考えられるでしょうか。

パターンA:代理店で「武器」を磨き切り、事業会社へ「即戦力」転職

最も王道なパターンです。代理店で特定のスキル(例えば、BtoB向けのFacebook広告運用や、検索意図を深く捉えたSEOコンテンツ制作など)を「誰にも負けないレベル」まで尖らせます。

事業会社、特にSaaS企業は今、「専門スキルを持った即戦力」を求めています。「何でもできます」よりも「これができます」と言える方が強いのです。

パターンB:代理店で「PL(プロジェクトリーダー)」経験を積み、事業会社へ転職

運用スキルだけでなく、進行管理、クライアント折衝、チームメンバーのマネジメント経験を積むルートです。

事業会社、特に成長期のSaaS企業では、施策を回すだけでなく「チームを動かして成果を出す」ミッションを任されることが多いため、この経験は高く評価されます。

(参考)事業会社から代理店への「逆転職」もアリ

一度事業会社で「事業主側の視点」「KPIだけでなくKGIを追う感覚」を身につけた後に、再び代理店に戻るキャリアもあります。

「事業会社の気持ちがわかるコンサルタント」として、代理店の中で非常にユニークで価値の高いポジションを築ける可能性があります。

3. マーケター転職市場で「評価される」ために、今、代理店で意識すべきこと

将来的な事業会社への転職を見据えた場合、漫然と日々の業務をこなすだけでは不十分です。企業の人事や採用担当者は、代理店出身者のどこを見ているのでしょうか。

① 「KPI」の先にある「KGI」を見ていたか?

事業会社が最も懸念するのは、「広告の数字(CPAやCV数)しか見ていないのではないか?」という点です。

  • 今やるべきこと:
    • 担当クライアントの「最終的な成果(商談化率、受注率、LTV)」まで踏み込んでヒアリングし、そこから逆算して広告施策を提案する癖をつける。
    • 職務経歴書に「CPAを改善した」だけでなく、「その結果、クライアントの事業成長にどう貢献したか」を書けるエピソードを作る。

② 担当領域外への「越境」経験はあるか?

事業会社、特にスタートアップ系マーケティングは総力戦です。広告担当であっても、インサイドセールス(IS)やセールスチームとの連携が不可欠です。

  • 今やるべきこと:
    • 「広告の獲得リードの質が悪い」とISから言われた時、反発するのではなく「どんなリードならアポに繋がるか?」をすり合わせ、キーワード選定や広告文に反映させるような動きをする。
    • この「他部署(クライアント側の他部署も含む)と連携して課題を解決した経験」は、事業会社への転職において強力な武器になります。

③ 「再現性」のある言語化能力はあるか?

たまたま成果が出たのではなく、「なぜ成果が出たのか」を論理的に説明できる能力が求められます。事業会社はデータを重視する文化が強いためです。

  • 今やるべきこと:
    • 日々の運用レポートで、単に数字を報告するだけでなく、「仮説→実行→検証→次の打ち手」のプロセスを言語化して伝える訓練をする。

まとめ:あなたの「経験」は、どちらのフィールドで輝くか?

代理店も事業会社も、マーケターとしてのキャリアを築く上で素晴らしい環境です。重要なのは、それぞれのメリット・デメリットを理解し、現在の自分のフェーズと将来の目標に合わせて、戦略的に環境を選ぶことです。

もし事業会社への転職を目指すなら、代理店にいる「今」しかできない経験(多様なクライアントワーク、専門スキルの深化)を最大限に活用し、「事業会社視点を持ったプロフェッショナル」としての準備を進めていきましょう。

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